
多くの人が行なってしまう間違った対応法とは?
うつ病の患者さんに対してよくやりがちな、
しかし効果のない対応法には、たとえばどのようなものがあるでしょうか?
患者さんが、「もう何にもできない」とか、「自分なんか何の価値もない人間だ」とか、
「死にたい」とかいうふうに、弱音を吐いたときどうしますか?
「がんばって」と励ましたり、
「もっと前向きに考えて」とアドバイスしたり、
「そんな弱い考えでどうする」と叱ったり、
「つらいのはお前だけじゃないんだぞ」なんて説教したり
してきませんでしたか?
それで、患者さんは元気になりましたか?
いいえ。だったら、あなたはこのサイトを読んだりしませんよね?
たぶん、逆効果だったんじゃないでしょうか。
なぜ逆効果なのでしょうか?
うつ病というのは性格ややる気の問題ではなく、神経の病気で、
たとえて言うと、車のガソリンタンクとエンジンの間のパイプがつまっていて、
エンジンにガソリンが十分に供給されていない状態です。
だから、どんなに励まされても、教えられても、叱られても、
元気に活動したり、前向きに考えたりできないのです。
あなたは、自分にはとうてい実行不可能なことを「やれ」と言われて、
励まされたり、叱られたりしたらどんな気分になりますか?
きっと、つらい思いをし、よけいにやる気を失うんじゃないでしょうか。
うつ病の患者さんも、それと同じです。
「がんばれ」と励ましたり、
「こうしたら?」とアドバイスしたり、
「何やってるんだ」と叱ったりしないだけでも、
うつ病の患者さんは、ずいぶんと気持ちが楽になります。
でも、放ったらかしにしておくと、今度は「見捨てられた」と思われて、
また落ち込ませることになるかも知れません。
じゃあ、代わりにどんな対応をしたらいいのか……?
誰でも今すぐ実践できる、たった2つの対応法とは?
ここで、私が、患者さんの家族をカウンセリングしていて、
特に効果が高いと感じている2つの対応法をご紹介します。
これらの方法は、ほとんど多くの人に高い効果があり、
しかも、簡単に実践することができます。
うつ病の患者さんは、よく弱音を吐きますね。
そんなとき、カウンセラーはこんな対応を心がけます。
- 患者さんが弱音を吐いたときに、励ましたり治したりしないで「そっかぁ、そういう気持ちなんだね」と返す。
- そして、患者さんの気持ちを汲み取って、「それはつらかったね(悲しかったね、寂しかったね、など)」と返す。
なぜこういう対応をするのかというと、人が弱音を吐いたり相談したりするのは、
教えて欲しいからでも、直して欲しいからでもなく、分かって欲しいからです。
何を? 気持ちです。
今の現状で、自分がどんなにつらく、切なく、苦しい思いをしているか。
それを分かって欲しいんです。
この欲求を放ったらかしにして、教えたり励ましたりしても、
患者さんは「結局私の気持ちは誰にも分からないんだ」と孤独感を募らせるばかりです。
そして、ますます否定的な考えに陥ってしまうことになります。
うつ病の患者さんに対して、カウンセラーが用いている対応法として、
2つの方法を紹介しました。
もちろん、うつ病の患者さんへの対応法というのはこれだけではありませんが、
まずこれだけ実践してみてください。
きっと今までとは違う、患者さんの反応を引き出すことができるはずです。
私は、うつ病の家族を抱える方々の相談をたくさん受けていますが、
たいていの場合、まずはこの2つの対応を教えて、実践してもらいます。
でも、本当にこれだけのことで、うつ病で苦しむ患者さんが変わるのかと、
ちょっと信じられないかも知れませんね。
それでは、私がこの2つの対応を教えて、それを実践なさった方を紹介しましょう。


